人間の体は歳を追うごとに疲労を感じやすくなっていきます。
疲労を溜め込まないようにするには、日々の生活習慣や食がとても大切です。
こちらでは、体を元気にする疲労回復の方法と即効性のある疲れがとれる食べ物について解説していきます。
疲労と疲労感の違いとは?
私達人間は、日々の生活の中で仕事や人付き合いから、色々な「疲れ」を感じることが多々あります。
ただ、疲れの感じ方は人によって異なります。
例えば、同じ仕事をしても疲労を感じる人もいれば、感じない人もいますし、同じ仕事内容なのに、疲労を強く感じる時と感じない時があったりします。
これは、疲労と疲労感が必ずしも同じ状態にならないからです。
気分が高揚している時には、仕事量が多くてもあまり疲労を感じない時もありますし、逆に、気分が沈んでいる時や、いやいやながら仕事をする時は、いつも以上に疲労を感じてしまったりする事があるのです。
このように、実際の疲労と疲労感にはギャップが生じることがあり、メンタル的な部分が深く関係していると言えます。
実際の疲労も、生理的疲労と病的疲労の2つに分けられるそうですが、この疲労も疲労感も含めて、疲れた体を元気にする疲労回復の方法や予防策についてお話ししていきたいと思います。
※注):病的疲労には、基礎疾患がはっきりしていて、病気の症状として現れるものや、基礎疾患のない精神的な原因によるうつ病などがあります。いずれも医師からの治療を受けることが最優先されます。
疲労は体を守るための警鐘
人間は、仕事や家事、スポーツなどの何らかの活動を行うと、必ず休養が必要となります。
私達が感じる疲労の多くは、この休養を促す為のシグナルであり、それを無視してしまうと、健康を維持できないばかりか、生命の危険にさらされることすらあり得るのです。
したがって、私達人間は疲労があるからこそ、疲労を感じ取れるからこそ、様々な刺激にも順応することができ、日々安定した生活を送れると言えるのです。
疲労回復の基本は休養と食事
「肉体疲労」と「精神的疲労」、この2つの言葉はよく聞くことがありますし、普段の会話の中で、疲労感を伝える時に使うこともあると思います。
肉体疲労は体を酷使する事からくる疲れとして、精神的疲労はストレスが影響する疲れとして、その言葉が使われます。
この2つに関して、疲れを感じる経緯や実際の疲れ方などは異なる事がありますが、どちらにしても、有効とされる疲労回復方法は同じになります。
疲労回復の基本は、十分な休養とバランスと取れた食事です。
これは肉体疲労であろうと精神的疲労であろうと、この基本に変わりはありません。
更に、もう一つ疲労回復の基本を加えるならば、適度な運動が挙げられるでしょう。
この疲労回復の三原則を正しく理解して、取り組んでいく事が、疲労回復させ、疲労し難い体作りを実現してくれます。
効果的な休養は質の高い睡眠をとる事
8時間睡眠に拘らない
人間にとって適切な睡眠時間として、「8時間睡眠」がよく言われますが、これはあくまでも平均的な目安の1つです。
適切な睡眠時間は人によって違いますし、無理に8時間睡眠を目標に掲げて拘りすぎると、逆に、それがストレスになってしまうこともあります。
極端に短い睡眠時間でない限り、心地よくスッキリ目覚められるのであれば、それが適切な睡眠時間と言えます。
就寝前の飲食や喫煙は避ける
寝る前の水分補給は大切ですが、食事は就寝の2時間以上前に済ませるようにしましょう。
お腹いっぱいになるので、眠気を感じることはあっても、胃腸に負担が掛かりますし、眠りが浅くなってしまいます。
アルコールも入眠には効果があったとしても、眠りが浅くなってしまいますので、過度な摂取は控えましょう。
また、コーヒー(カフェイン)や喫煙(ニコチン)など、覚醒作用のある刺激物の摂取は、就寝4時間前までにしましょう。
就寝前にスマホを使わない
パソコンやスマートフォンからは、ブルーライトと言われる光が放たれていて、この光は目に良くないだけでなく、自律神経を乱す影響があると言われています。
特に、スマホの場合は、寝る時に布団に入ってから使う人が多く、これは眼球疲労・頭痛・ストレス・耳鳴りなど自立神経失調症と同じような症状が出る恐れがあります。
テレビやパソコンなどと違い、かなり至近距離で使用することになりますので、影響を受けやすくなりますので、就寝前の無用なスマホの利用は避けるようにしましょう。
就寝前にストレッチを習慣化する
就寝前のストレッチは、疲労回復とリラックス効果が期待できます。
ストレスの多い現代社会では、首や肩のこりや腰痛など、筋肉が硬直して緊張状態が解消されない状況は、多くの人が抱える悩みです。
ストレッチを毎日続けることで、筋肉の緊張を和らげるだけでなく、精神的な疲労を回復させる効果も期待できます。
睡眠をサポートしてくれるグッズやサプリを利用する
なかなか寝付けない人は、睡眠グッズやサプリメントなどの利用も、効果的な方法の1つです。
アイマスクや耳栓で光や雑音をシャットアウトすることで、入眠効果を期待できることもありますし、枕やマットレスを変えることで質の高い睡眠を取れる効果も期待できます。
また、睡眠サポートサプリ
栄養バランスの取れた食事で疲労回復と健康な体の基礎作り
ビタミンB群を含む食べ物の摂取
ビタミンは、私達が食事で摂取した炭水化物や資質をエネルギに変えてくれます。
糖質はビタミンB1が、脂質は主にビタミンB2が、タンパク質はビタミンB6とビタミンB12がエネルギーへと変えてくれるのです。
ビタミンB1 | 豚肉(特にヒレ)、うなぎ、大豆、生ハム |
ビタミンB2 | レバー、海苔、魚卵、アーモンド |
ビタミンB6 | にんにく、マグロ、カツオ、鶏肉(ささ身・若鶏) |
ビタミンB12 | 海苔、しじみ、いくら、牛レバー |
クエン酸を含む食べ物の摂取
クエン酸は、柑橘類や梅干しなどの酸味成分になります。
クエン酸には、運動やストレスで蓄積されていく疲労物質である乳酸を、炭酸ガスに分解して尿として排出する作用があります。
また、クエン酸には、血液をサラサラにして血流を改善する効果もありますので、新陳代謝がが促進されることにより、疲労回復の効果が期待できます。
クエン酸 | レモン、いちご、梅干し、パイナップル、キウイ、お酢、アセロラなど |
カルシウム・マグネシウムを含む食べ物の摂取
カルシウムとマグネシウムには、精神安定作用を倍増してくれる効果があります。
ストレスの解消に効果があり、精神的疲労を和らげてくれることが期待できます。
また、高血圧や心臓機能の安定化にも効果が期待できます。
カルシウム | 桜えび、チーズ、しらす、いわし、ししゃも、わかさぎ |
マグネシウム | 海苔、わかめ、ひじき、かぼちゃ、牡蠣、ほうれん草 |
アミノ酸を含む食べ物の摂取
アミノ酸が欠乏すると、免疫力が低下したり、体が疲れやすくなると言われています。
アミノ酸は、私達の体の筋肉や血液などの成分となる、タンパク質を作っています。
アミノ酸にはいくつもの種類があるのですが、食事から摂取する必要があるとされる9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と言います。
また、アミノ酸には、神経伝達物質の材料となり、脳からの命令をスムーズに伝える作用もあります。
私達の脳を刺激して、集中力や記憶力を高めてくれる効果も期待できます。
アミノ酸 | マグロ、カツオ、豚肉、レバー、真アジ、イワシ、チーズ |
即効性がある疲労回復が期待できる食べ物
豚肉
ビタミンB1の摂取は、疲労回復に最も効果的とされています。
その代表格とも言える食べ物が豚肉で、実に牛肉の10倍ものビタミンB1が含まれると言われています。
但し、あまり豚肉を食べ過ぎてしまうと、乳酸が溜まってしまうことがあり、余計に疲労感を増すこともあります。
したがって、乳酸の発生を抑えてくれる成分と、一緒に食べることが効果的です。
クエン酸には、乳酸の発生を抑える効果があります。
豚肉と一緒に、ミカン・パイナップル・レモンなどの柑橘類を一緒に食べる事で、疲労回復の効果を大きく発揮してくれると思います。
にんにく
疲労回復と滋養強壮の定番と言えば、にんにくを第一に思い浮かべる方も多いと思います。
にんにくに含まれるアリシンは、体内でビタミンB1と混じりあうことで、疲労回復を増進させてくれるアリチアミンという物質に変化します。
但し、にんにくを食べ過ぎると、お腹がゆるくなって下痢になったり、胃が荒れたりすることがありますので、注意が必要です。
臭いもきついですから、食べる時間帯にも配慮が必要です。
トマト
トマトに多く含まれるリコピンには、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEとクエン酸などの成分で構成されていて、乳酸を抑えてくれる働きがあります。
また、病気や老化の原因でもある、活性酸素を取り除いてくれる効果もあります。
この効果がアンチエイジングやダイエットに期待できるとされ、リコピンブームが巻き起こったわけです。
活性酸素の原因は、肉体的な疲労やストレスになります。
それを取り除いてくれるトマトは、大きな疲労回復の効果が期待できる食べ物と言えます。
玉ねぎ
玉ねぎに含まれる硫化アリルと言う辛味成分には、リラックス効果があります。
その為、精神的疲労の回復には、玉ねぎがおすすめと言えるのです。
玉ねぎの他にも、長ネギやニラなどのネギ類には、同様の成分が含まれます。
血液をサラサラにしてくれる効果もありますので、色々な量に利用して食べるようにしましょう。
大豆
大豆は疲労の万能薬と言っても良いくらいの、優秀な食べ物です。
大豆に含まれるレシチンは、疲労回復だけでなく、脳の働きをサポートしてくれる効果も期待できます。
豆腐や納豆などは、従来日本人にとって欠かすことのできない食べ物でしたが、和食以外の他国の食事をとることも多くなった現代では、摂取量は少なくなっていると言えます。
日々の食事に対して意識的に、大豆でできた食べ物を一品添えるような食生活の改善が必要かもしれません。
まとめ
疲労回復には、十分な休養と栄養価の高い食事が最も大切である事は、誰もが承知しているはずなのですが、仕事の為や家族の為に、或は無意識のうちに、自分の身体以外の事を優先させて負担を掛けてしまいます。
長い人生の中では、負担を覚悟で頑張る事の方が優先される場面も多くありますが、負担がたたって大病を患うような事になったり、最悪命にかかわるような事になれば、元も子もありません。
毎日は出来なくても、無理をし過ぎず疲労を回復させる為の休養をとる工夫は必要だと思いますし、食べ物に関しては、出来る限り健康を意識した食事をするべきだと思います。
また、今までに経験した事のない極度の疲労や、休養や食事でも疲労が改善されない場合には、迷わず医師の診断を受けるべきです。
元気な体で1日でも長く人生を楽しむ為にも、自分の体を労わる事は大切です。